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なぜ体験学習なの? パート2

2015年 8月 25日

なぜ子どもたちに体験学習が必要なのでしょうか?

それは子ども達の発達特性にも理由があります。
20世紀を代表する心理学者のジャン・ピアジェによれば、子どもの発達には段階があり、0〜2歳は感覚運動期、2〜7歳は前操作期、7〜12歳は具体的操作期、12歳以降は形式的操作期と呼ばれています。小学校に入学する6〜7歳の時期に前操作期から具体的操作期への移行があります。
この段階では、数量把握に重要な概念のひとつである保存の概念が獲得されます。
この時期の子どもの特徴に、底が広く浅いコップに一杯入った水を、底が狭く深いコップに移したとき、子どもによっては見え方に惑わされ、水が多くなったとか少なくなったとか表現することがあります。
実際には、水の量は保存されており、変化はないのですが、この概念(保存の概念)を獲得していない子どもはこのように反応するのです。幼児期にも概念の発達は進みますが、まだ自分中心に物事を捉えており、知覚に左右されやすいのです。

7〜12歳になってくると具体的な物があれば、この保存という概念を物を通じて理解できるようになります。
つまり、具体的な物を利用する教育が、この年齢の子ども達には適しているとも言えます。
具体的なものによらず、抽象的な思考や記号による思考ができるようになってくるのは、12歳以降の形式的操作期に入ってからです。

ここで算数の問題を考えてみましょう。
「長さ1mで重さが2kgの棒があります。長さ3mでは重さはいくつでしょうか?」
多くの大人の皆さんは形式的操作期におりますので造作もなく、2kg×3m=6kgとすぐに答えが出せるでしょう。
ところが、教科書や黒板にこの問題が文字で書かれていたとしても、解くことが難しい子どももいます。
教科書が掛け算を習う場所だから、勘を働かせて闇雲に掛け算をして、答えだけ合わせる子どももいます。
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それはなぜか?

具体的な物をもって理解する発達段階にある子どもに、文字に書かれた抽象的な重さ、長さという概念で問題を解かせようというところに無理があるのです。この問題を解けない子どもは、おそらく頭の中で、1mの棒があってそれを3つつなげたのが3m棒だから掛け算だという想像ができていないのでしょう。
このような発達段階にある子どもに、掛け算の意味を伝えるには、具体的な物をもってやるのが良いと考えています。
以前に出てきた多摩川イカダ下りのイカダでもいいですし、料理をするときの調味料でもいいでしょう。具体的なものを持って掛け算の意味を体感するこういうことが大切で、そうした体験を通じて、子どもの頭の中に掛け算という概念が定着するのではないでしょうか。

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大人の目線では当たり前のことでも、子どもから見れば未知のことばかり、机の上だけで学んでいても、真の意味で成長はしないのではないでしょうか。具体的な物を通じた体験をもって、知識ではなく、実践力をつけるのが、ネイチャリングルーム学童保育の体験学習です。

(参考文献:「人間の発達と学習」2001年 立木徹・他2名、玉川大学通信教育部)

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なぜ体験学習なの?パート1

2015年 8月 3日

ネイチャリングルーム学童保育では、体験を重視していますが、なぜ体験学習が大切なのでしょうか?

その一つの理由は、脳の構造にあると考えています。

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脳科学者医学博士の加藤俊徳氏の著書「脳の強化書」によれば、脳には1000億個を超える神経細胞が存在しており、これらの神経細胞は役割別に集団(脳番地)を形成しています。脳は思考系脳番地、感情系脳番地、伝達系脳番地、理解系脳番地、運動系脳番地、聴覚系脳番地、視覚系脳番地、記憶系脳番地から構成されており、これらの脳番地が連携し働くことで、人は活動しています。

例えば、英語のスピーチを聴いて、日本語訳を紙にまとめるという活動の場合には、聴覚系脳番地が働き(発音を聞き)、理解系脳番地が働き(意味を理解し)、伝達系脳番地が働き(日本語に表現し)、運動系脳番地が働く(手で書く)という流れになります。

別の例では、ある曲を聴くとその頃の思い出が脳裏に蘇るといったことも挙げられます。この例では、曲と一緒にある知識が脳に蓄積されたという意味で、体験学習が知識を脳に定着させやすいことを示している実例と言えるかもしれません。

 

ネイチャリングルーム学童保育でいうところの体験学習では、この脳番地の連携の仕組みをうまく活用しています。つまり、一つの学習テーマから複数の脳番地を刺激し、様々な脳番地同士の連携を効率的に強化しているのです。

通常の机上の学習は、視覚系脳番地と記憶系脳番地と思考系脳番地を中心に強化するものと捉えています。一方、ネイチャリングルームの体験学習は、学習以外の目的が存在するため、遊びによる「楽しい」という気持ち(感情系脳番地)や人と人とのコミュニケーション(伝達系脳番地)、様々活動(運動系脳番地、聴覚系脳番地など)も同時に強化することができます。

 

「脳の強化書」によれば、神経細胞は加齢とともに減少する一方、神経細胞をつなぐネットワークは年々成長し、20代から40代が最も成長するとも言われております。

ネイチャリングルーム学童保育では、この著書の考えを踏まえ、子ども達が20代から40代を迎えた時に、神経細胞をつなぐ多様なネットワークを形成するための下地を作ります。神経細胞と神経細胞がつながるためには、接続ポイントが必要であり、体験学習の結果、脳番地に蓄積された体験(過去の体験)が、接続ポイントになると考えています。したがって、体験学習では、子どものうちにこの接続ポイントをたくさん作ることを目指します。「接続ポイントをたくさん作ること=たくさんの体験」と捉えているからです。

それでは接続ポイントをたくさん持つとは、何を意味するのでしょうか?

それは、それぞれの脳番地に接続ポイント(過去の体験)をたくさん持つ人が、将来、神経細胞をつなぐネットワークをたくさん形成しやすい人、いわゆる地頭力がある人ということを意味するのではないかと思います。逆に言えば、たくさんの体験をした人が将来の地頭力がある人ということだと思っています。

人は全く新しいことを思考したり、創造(想像)したりする時、過去の経験と照らし合わせたり、他の分野で似ている事象を見つけて、それを踏まえて仮説を立てて、思考を展開したりします。この際、思考や創造(想像)を巡らす広さは、神経細胞をつなぐネットワークの多様さに大きく関係しているのではないでしょうか?

思考の選択肢が広がれば、問題解決の幅も広くなり、ひいては人生の選択肢も広くなるといっても過言ではないかもしれません。

このように、ネイチャリングルーム学童保育の体験学習は、子どもの思考力、創造力を強化し、人生の選択肢をも広げることに資すると考えています。

本コラムでは、脳科学の観点から体験学習の大切さをご説明しました。次回は、子どもの発達特性の観点から体験学習の大切さをご説明したいと思います。

 

 

 

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体験学習って何?

2015年 8月 2日

ネイチャリングルーム学童保育では、体験学習を重視しています。

◆体験学習とは?

ネイチャリングルーム学童保育でいう体験学習とは、

「子ども達が主体となって、学習以外の目的がある活動の実践を通じ、五感を使って学ぶこと」

であると定義しています。

多くの場合、小学校との教科を中心にした学習では、「筆算を学びましょう」、「体積を計算しましょう」、「文章題を解きましょう」、「漢字の練習をしましょう」、「文章を読んで感想を書きましょう」「地域のくらしについて調べてみましょう」となり、学習自体が目的となりますが、ここでいう体験学習は、学習以外の目的が必ず存在します。また、ここでいう体験学習では、机の上で鉛筆を持ち、問題を読んでひたすら解くという視覚と脳の刺激を中心にした学習ではなく、五感(全身)を使って学びます。

 

例えば、「多摩川イカダ下りエコカップに出場し完走しよう!」が目的となります。子ども達は、イカダを作って、イカダに乗って、遊んで、学習します。

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(2015年多摩川イカダ下りエコカップに出場!百合ヶ丘駅前教室では2016年出場予定)

 

◆なぜイカダ作りが学習になるのか?

小学校の学習指導要領では、算数において、小学1年で「足し算」、小学2年で「体積の単位(L、dL等)」、小学3年で「重さの単位(kg,g等)」小学4年で「2桁の割算」、小学5年で「直方体の体積の求め方」、小学6年で「速さ」を学習することが定められています。

当たり前の話かもしれませんが、イカダ作りではこれらの要素を全て体験することができます。

・乗船する人の体重の合計は何kgでしょうか?(小学1年)

・スーパーから発泡スチロールを入手しました。その大きさは何cmでしょうか?(小学1年)

・発泡スチロールと同じ量の水の体積は何Lでしょうか?測定してみましょう。(小学2年)

・発泡スチロールと同じ量の水の重さは何kgでしょうか?測定してみましょう。(小学3年)

・イカダを作るには、何個の発泡スチロールが必要でしょうか?(小学4年)

・発泡スチロールの大きさは、縦40cm、横50cm、高さ30cmでした。その発泡スチロールの体積はいくらでしょうか?(小学5年)

・イカダがスタートしたのは午後1時、ゴールに到着したのは午後1時30分。スタートとゴールの間は900mありました。川の流れは時速何kmでしょうか?(小学6年)

 

このように、子ども達にとって「イカダを作って沈むことなくゴールに進む」という遊び(学習以外の目的)が、学習につながるのです。これらの遊びの過程を通じて、長さや重さを測ったり、発泡スチロールに触れて重さを体感したり、川のスタート地点とゴール地点を下調べして、900mの長さを体感したりと、重さや長さといった算数的な概念を体感して定着させることができます。(算数的な概念を体感することの大切さについては、またの機会に掲載したいと思います)

 

ネイチャリングルーム学童保育の指導員は、子ども達が遊びから学ぶということを支援する役割を担います。やみくもに子ども達がイカダを作っても、そこから学び取ることは限られますが、指導員の的確な質問により、単なる遊びを学習指導上の問題に置き換えることで、自発的な学びを引き出すことができます。

 

遊ぶ環境を用意して、そこから子ども達が自然に学んでいく教育、それがネイチャリングルーム学童保育の体験学習です。

 

※これらの課題を解決していくためには「あるものが受ける浮力は、そのものが水に沈んでいる部分の体積の水の重さに等しい」という知識が必要になりますが、これは中学の学習内容なので指導員が情報提供をします。ネイチャリングルーム学童保育は、いわゆる学校教育法に定められた学校ではないので、先の学年で学習する内容でも、気にせず必要に応じて、指導できるのも特徴です。

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