偏差値が高い大学を出ても仕事ができない人がいるのはなぜか?
その答えは、「学力と仕事力は全く別の力だから」です。
当たり前と思われた方がいるかもしれませんので、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
◆学力とは何でしょうか?
現在の受験制度に基づく学力は、国語、算数、理科、社会のような各教科の問題を解き、その正答率を算出し偏差値を求めて、ランク付けがされたものです。ここで大切なのは「正答があることが前提」になっているということです。
過去の賢人が発見した、原理、概念、知識といったものを体系化したものが、いわゆる教科です。誰かが築いてきたものを体系的に追体験をする。これが教科型の学習であると思います。つまり、誰かがあらかじめ体系化したので、誰かが見つけた答えがあって、その答えと同じ答えを導き出せるかどうか。これを問うているのがテスト問題で、その問題をいかに正確に解けるかがここでいう学力です。
◆仕事力とは何でしょうか?
売上目標を達成する、利益を上げる仕組みをつくる・管理する、新製品を開発する、人の心を和ませる、病気を治すなど様々な仕事があります。そこで結果を出す力が仕事力です。ここに挙げた例に、「正答」があるでしょうか?
おそらく、どの答えも正答といえば正答、誤答といえば誤答となるのではないでしょうか?
つまり、仕事の世界には「改善の余地がない唯一の答えは存在しない」ということだと思います。
何をするにも与えられた環境(能力、人材、資金、時間、場所等)が様々ですし、それぞれの会社の経営理念や思想によって、目指すべきゴールも違います。
学力が既知のものに対する力である一方、仕事力は未知のものに対する力であると言えると思います。
学力と仕事力は別の力なので、いわゆる学力が高い人が集まる偏差値が高い大学を出ても仕事ができない人がいるのは当然といえます。
仕事力(未知のものに対する力)を掘り下げてみましょう。
1)何が未知かを理解する力
2)未知のものを具体的な問題に置き換える力
3)具体的な問題を解決するための手段を考える力
4)その手段を実行する力
5)実行した結果を振り返る力
6)以上のことを粘り強くやり遂げる力
ここでは6つの力に分類してみました。
いわゆる指示待ち人間は、なんらかの理由によって仕事をやる意欲がないからそうしているのか、1)、2)の力が弱いのだと思います。
1)、2)は既知を前提にしている学力では取り扱うことがありませんので、学習問題を解くことばかりしかしていない人は、そもそも問題を作り出すことができないということかもしれません。
いわゆる偏差値が高い大学を出た人が持ち合わせている力というのは、3)だと思います。
具体的な問題が出題されれば、持ち前の学力によって問題を解いていく、その解法が手段を考えることいえるでしょう。
ただし、3)を持っていない人も多いかもしれません。それは、学力が完全に受験対策用のもので、問題の解き方自体を覚えてしまった人です。このような人は、具体的な問題が提示されたとしても、パターンが違う問題には対処できないと思います。
また、4)が弱い人もいると思います。仮に1)〜3)の力を全て備えていたとしても、いろいろな理由をつけて実行しない。
仕事を他人事として捉え、実行するのは自分の仕事ではないと思っているかもしれません。
仕事力がある人は、4)実行力を必ず備えている人だと思います。なぜならば実行しなければ結果は生まれないからです。
ネイチャリングルームでは、様々な体験プログラムを通じて、教科という枠組みにとらわれることなく、正答がないことをやります。
1)は好奇心の源泉になるでしょうし、2)は創造力ともいえるでしょう、3)は物事を達成するための段取り力・計画力といったように、賢人が体系化した教科という枠組みにはまらないことによって、1)〜3)を育む機会を設けています。
4)は実行力、5)は振り返りですので、当然行います。
6)は「好きこそものの上手なれ」という言葉があるとおり、子どもが好きであり続けられる、楽しい授業をすることで、多少辛いことがあっても、好きなことだから頑張れるという力を培います。好きなことだから頑張れるという人は、好きじゃないことでも頑張れる場合が多いと思います。スポーツ選手や芸能人がある分野で極めた人が、引退した後に別の分野でも極めてしまうというのがその例かもしれません。
ネイチャリングルームは小学生が対象ですので、将来、強靭な精神力が発達する基礎、つまり好きなことは熱中して頑張れるという姿勢をしっかりと築いてきます。