昨今、Chat GPTに代表されるように生成系AIと呼ばれる技術が急速に発達してきました。この流れは今後も続いていくでしょう。
この生成系AIは、深層学習や大規模言語モデルと呼ばれる技術を利用して作られています。世の中に存在するありとあらゆる情報をコンピュータにインプットして、コンピュータの中に知識モデルを作り上げています。
そのモデルに対して、人間が問い合わせをすると、モデルの中から導き出した回答をするというものです。問い合わせの内容に対して最善の答えを回答してくれるのが生成系AIです。
言ってみれば、問い合わせてすぐに優等生の回答をしてくれます。ですので、仕事の生産性が飛躍的に上がるなどと言われているのです。
それでは、人工的な優等生(AI)が存在する時代、生身の人間に求められる能力とは何でしょうか。
私は3つあると考えています。
1つは、『人工的な優等生をうまく使う力』、もう1つは『個性』、最後は『行動力』です。
『人工的な優等生をうまく力』とは、課題や疑問をどんどん見つけ出せる能力とも言い換えられるかもしれません。優等生を使うにしても、何をお願いするのか、何に答えてもらうのかがわからなければ、優等生を使うことはできないのです。
Chat GPTと問答をする様子は、まるで哲学の問答をしているかのようです。弁論を繰り返すことでモノゴトの真理、本質に近づいていく。論理的思考力を裏付けにして、優等生と質の高い議論をする。
こういった力が必要だと思います。要するに、優等生の言いなりになるだけではなくて、自分で考えてきちんとした自分の責任でもって結論を出すという力です。
すでにAIが全盛を迎えている将棋界の第一人者である羽生善治九段は次のように述べています。
「何事であれ最終的には自分で考える覚悟がないと情報の山に埋もれるだけである 」
優等生が本当に正しいことを言っているのか?どういう前提の下で正しいのか?受け取る人間が理由をわからない限りは、その情報の山の中に埋もれてしまうだろうということだと思います。
次に『個性』です。
私たち人間は、生まれた時期や育った環境が皆異なります。ですので、同じ事柄に対して違う結論を出します。
赤ちゃんが泣いている。あなたならどうしますか?
・ある人は、かわいそうだから、抱っこして泣き止まさせてあげよう。
・別の人は、ダメなものはダメなんだから、駄々をこねても聞かないと放っておく。
持っている考え方やその状況の見方が違うだけで、対応が真逆になります。
とても値上がりしている株があります。あなたならどうしますか?
・ある人はこの株はまだまだ上がるからもっと買おう。
・別の人はこの株はもともとの価値よりもだいぶ高くなっていて、そのうち下がるから高値のうちに売ろう。
二人の考え方が真逆なのでこの株の売買は成立します。
この考え方の違いが『個性』です。個性を生み出すのは、その人が現在に至るまでに体験したことを踏まえて創り出されたその人の脳内にある知識モデルがもとになっています。人工的な優等生が知識モデルを持っているように、当然私たちも知識モデルを持っています。
AI時代では、この知識モデルを育てることが、今まで以上に重要になっています。
人工的な優等生がもっともな答えを生み出したとき、私たちにはそれを評価できうる知識モデルがなければ、優等生が言っていることを理解できないいうことです。
現在、人工的な優等生が学習できる内容は、文字情報、画像情報、音声情報といった断片的な情報です。人間は五感を通じて統合的に様々な学習をすることができます。
いってみれば、それが体験学習です。
人工的な優等生は、体験学習はできないが、人間は体験学習をできる。
これから、人間がコンピュータと対峙、共存する上で大切なのは、体験に裏付けられた個性であるという風に考えています。
最後に『行動力』です。
人工的な優等生の出現により、問題解決が飛躍的に容易になってきました。ただ、物事は最終的に行動が伴わなければ、机上の空論で終わってしまいます。失敗を恐れずに、どんどん行動する力これがなくてはならないと思います。
実は、人工的な優等生だってたくさん失敗してるんです。知識モデルを作るうえで必要な深層学習の過程で、人工知能はものすごい数の失敗をしています。失敗をたくさんすることで、正しいことを理解しているんです。
ネイチャリングルームでは、豊富な体験をすることができます。その過程で得られた小さな成功体験の積み重ねが、行動力、チャレンジ精神をアップさせます。
学校が終わった後の放課後で、AI時代に求められる能力が身に付いたら素晴らしいと思いませんか。
説明会・体験授業の参加お待ちしております。