なぜ体験学習なの?パート1

ネイチャリングルーム学童保育では、体験を重視していますが、なぜ体験学習が大切なのでしょうか?

その一つの理由は、脳の構造にあると考えています。

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脳科学者医学博士の加藤俊徳氏の著書「脳の強化書」によれば、脳には1000億個を超える神経細胞が存在しており、これらの神経細胞は役割別に集団(脳番地)を形成しています。脳は思考系脳番地、感情系脳番地、伝達系脳番地、理解系脳番地、運動系脳番地、聴覚系脳番地、視覚系脳番地、記憶系脳番地から構成されており、これらの脳番地が連携し働くことで、人は活動しています。

例えば、英語のスピーチを聴いて、日本語訳を紙にまとめるという活動の場合には、聴覚系脳番地が働き(発音を聞き)、理解系脳番地が働き(意味を理解し)、伝達系脳番地が働き(日本語に表現し)、運動系脳番地が働く(手で書く)という流れになります。

別の例では、ある曲を聴くとその頃の思い出が脳裏に蘇るといったことも挙げられます。この例では、曲と一緒にある知識が脳に蓄積されたという意味で、体験学習が知識を脳に定着させやすいことを示している実例と言えるかもしれません。

 

ネイチャリングルーム学童保育でいうところの体験学習では、この脳番地の連携の仕組みをうまく活用しています。つまり、一つの学習テーマから複数の脳番地を刺激し、様々な脳番地同士の連携を効率的に強化しているのです。

通常の机上の学習は、視覚系脳番地と記憶系脳番地と思考系脳番地を中心に強化するものと捉えています。一方、ネイチャリングルームの体験学習は、学習以外の目的が存在するため、遊びによる「楽しい」という気持ち(感情系脳番地)や人と人とのコミュニケーション(伝達系脳番地)、様々活動(運動系脳番地、聴覚系脳番地など)も同時に強化することができます。

 

「脳の強化書」によれば、神経細胞は加齢とともに減少する一方、神経細胞をつなぐネットワークは年々成長し、20代から40代が最も成長するとも言われております。

ネイチャリングルーム学童保育では、この著書の考えを踏まえ、子ども達が20代から40代を迎えた時に、神経細胞をつなぐ多様なネットワークを形成するための下地を作ります。神経細胞と神経細胞がつながるためには、接続ポイントが必要であり、体験学習の結果、脳番地に蓄積された体験(過去の体験)が、接続ポイントになると考えています。したがって、体験学習では、子どものうちにこの接続ポイントをたくさん作ることを目指します。「接続ポイントをたくさん作ること=たくさんの体験」と捉えているからです。

それでは接続ポイントをたくさん持つとは、何を意味するのでしょうか?

それは、それぞれの脳番地に接続ポイント(過去の体験)をたくさん持つ人が、将来、神経細胞をつなぐネットワークをたくさん形成しやすい人、いわゆる地頭力がある人ということを意味するのではないかと思います。逆に言えば、たくさんの体験をした人が将来の地頭力がある人ということだと思っています。

人は全く新しいことを思考したり、創造(想像)したりする時、過去の経験と照らし合わせたり、他の分野で似ている事象を見つけて、それを踏まえて仮説を立てて、思考を展開したりします。この際、思考や創造(想像)を巡らす広さは、神経細胞をつなぐネットワークの多様さに大きく関係しているのではないでしょうか?

思考の選択肢が広がれば、問題解決の幅も広くなり、ひいては人生の選択肢も広くなるといっても過言ではないかもしれません。

このように、ネイチャリングルーム学童保育の体験学習は、子どもの思考力、創造力を強化し、人生の選択肢をも広げることに資すると考えています。

本コラムでは、脳科学の観点から体験学習の大切さをご説明しました。次回は、子どもの発達特性の観点から体験学習の大切さをご説明したいと思います。

 

 

 

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